歳時記

来年の4月で平成が終わる。巷では「平成最後の○○」といった言葉が流行っているようだ。平成最後の夏。平成最後の誕生日。エトセトラ。昭和最後の夏も秋も冬も皆が知り得ぬまま過ぎていき、そして青天の霹靂ごとく平成がやってきた。地平かに天成る。自分は幼かったので改元のいわゆる「自粛ムード」というやつをよく知らない。東日本大震災直後のあの感じが似ているという人も少なくないので、多分そのような雰囲気であったのだろう。ポポポポ〜ン

さて、本日は平成最後の入梅で、平成最後の傘の日でもある。因みに傘の日は平成最初の年に制定された比較的新しい記念日だ。あとは平成最後のカメハメハデーその他諸々の記念日である。話を入梅に戻すと今日は梅雨らしく雨に包まれた一日であった。雨に濡れて歩くのも悪くはない。特に過ごし易い気温の一日は更、緑深い渓谷や夜の街をしとしと歩きたい気分になる。紫陽花は盛りを迎え至る所に見ることができる。四月の桜五月の躑躅のごとし。紫陽花は芽吹いてから咲くまでの期間が比較的長いので満開までの成長過程を見守るのが楽しい。咲いてからも割と長いので日本人にとって可愛らしい梅雨のお供であろう。紫陽花は昼も夜も鄙も都も分け隔てなく彩を添える。

ジューン・ブライドの名を冠する月でもあり、ちょうどこの土曜は吉日だったのか結婚式の宴客のような装いで溢れかえっていた。ローマ神話における結婚生活の守護神ユノ Juno に由来する。賓客にとっては全く雨の多い時期に神になってくれたと恨み節が聞こえそうであるが、雨に包まれた結婚式もまた印象深いものになるだろう。六月の花嫁たちは女神ユノの加護を受け、紫陽花のように永く美しい花を咲かせ、晴れの日も雨の日も美しく輝く結婚生活を送ることだろう。それはちょっといいとこ取りすぎるか。

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