風薫る

「平成最後の梅雨」は観測史上最も早い梅雨明けをもって終焉した。ここに「平成最後の夏」が訪れる。いやぁ、暑い暑い。しかしこんなものは序の口で、あと数週間もないうちに地獄の猛暑がやってくることは想像に難くない。まぁそれはそれで日本らしさであるし、それを楽しみにしてはいるのだけれど、でもやっぱり例年同様「それ」を迎えることに対して構えてしまう自分がいる。

梅雨の明ける少し前に近所で凌霄花が咲いていた。自分がこよなく愛する花の一つ。嫌味のないツル性の美しい曲線と、南国らしさと雅な印象を併せ持つ赤支子の花の色。梅雨の曇天にも真夏の青空にもよく映える心地よい花だ。この花は生まれた頃には既に実家の庭に植わっていたのだが、その存在に気付いたのは確か中学か高校のあたりで、花というのは意外に意識して目を向けないとわからないものなのだなぁと思った記憶がある。

夜、最寄駅のプラットホームに降り立つと瞬間湿った空気と磯の香りに包まれて吃驚してしまう。ただよう薫風に海の存在を感じずにはいられない。休みになったら夏の海へ行こう。

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