五差路

都営大江戸線赤羽橋駅赤羽橋口を出ると赤羽橋を背に大きく五差路が見える。首都高速の高架下を並走する環状3号線、それらを縦に貫く桜田通りに、ガソリンスタンドをはさんで白山祝田田町線が枝のように伸びている。この交差点は個人的には東京タワーのビューポイントとしての印象が強い。ここから東京タワーに出るには桜田通りか白山祝田田町線を通ることになるが、芝公園に挟まれて比較的静かな白山祝田田町線を使うことが多い。時計塔のある芝公園の高台も東京タワーを下から眺めるには丁度よい。

東京タワーには、通常色として夏色と冬色の2色がある。冬は全体がオレンジ色を帯びてあたたかみを感じる色、夏はシルバーライトが加わってよりすっきりとした色味になる。個人的には冬色のほうが趣深く好きなのだが、とはいえ夏色もとても気に入っている。暑い時期は夜に出かけることが多く、何となく夏のほうが東京タワーのライトアップにお世話になっている気がする。

ほんの一時期だが芝に住んでいたことがあり、その頃は毎晩東京タワーを眺めていた。東京タワーの灯りは心に訴えかけるものがあり、たくさんの思い出が形にならないまま去来する。感傷的になるでもなく昔を懐かしむわけでもなく、ただただ心がゆるく共振する心地よさがある。

もともと、このライトアップは日没に点灯して24時には消灯するのだが、3年ほど前から24時を過ぎて明け方まで点灯するようになった。を過ぎてもライトアップされることになっている。改修工事を行う当面の扱いということらしいが、どんなに夜中に歩いていても東京タワーに見守られているような感じがして心強いし、個人的にはずっと続けてほしいと思う。晴れの日も雨に濡れてもこのあかい光は絶妙な美しさと親しみやすさを感じさせてくれる。


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