香り水

湿度100%という表記を見て思わずふふっと笑ってしまった。日が沈む前の上野公園は珍しく霧に包まれている。肌にまとわりつく6月の水の精と重たく影を落とす分厚い雲。去年の今ごろ稲毛まで花を見に行ったときに降っていた雨をふと思い出す。6月の雨は生温く、あふれる涙が頬を伝うようにさらさらと肌を流れ落ちてゆく。少々の雨なら傘をささずに歩くことが増えた。

積極的に人と交わることのない今、自分の心が揺り動かされるとしたら、それは空のうつろいと花の色香くらいになってしまった。去年ほどではないが今年もそれなりに花を愛でていると思う。特にこのひと月は一年で一番好きな花が多く咲く時期だと思う。もうそろそろムクゲの花が咲いて夏の花にバトンタッチしてゆくのだ。春にはにほ日本を出るはずだったのに未だに状況が変わっていない。何も変わらないことに対して特に不安も憤りもないが仕事のやる気も出ない。けれども花のおかげで心の健康は保てている、気がする。日本にいるならいられるだけ日本の花を楽しみたい。相変わらず元気にやってます。

 


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