寝覚記

夜半から朝にかけて雨が降った。朝のまどろみの中で聞こえる雨音は心地よい。雨は目ざわりも耳ざわりもよいので印象に残りやすい。子どもの頃、金魚が放たれた池にしとと落ちる雨粒と波紋を眺めたこと、大学何年かの秋口に朝まで飲み明かした帰りに降った土砂降りの雨、工学部カフェのカウンター越しに大きな窓から眺めた雨のキャンパス、好きだった女の子と新宿を歩いたときの降り始めの雨、台風が直撃した台北に降る埃っぽい雨……雨の思い出は数えればきりがない。そりゃあ雨は年がら年中降るものだから、というのはそれはそうだけれど、逆に晴れの日の思い出は晴れということがあまり意識されないかもしれないなと思った。

どういうわけか定期的に見る夢に「単位が足りなくて大学を卒業できない」というのがある。正確には大学四年の秋なので卒業できないかどうか確定的ではないのだが単位の取得に追われている。シチュエーションはいつも同じで妙に現実味があって寝起きの気分も悪い。ただ実際には卒業できているので少しほっとする。卒業なんてもう何年も前のことなのに不思議な夢である。

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